自閉スペクトラム症<ASD>

自閉症は、こだわりが強くみられ、人とコミュニケーションを取ることが困難であることが大きな特徴です。言葉や知的発達の遅れを伴うことが多いですが、「高機能自閉症」や「アスペルガー症候群」と呼ばれるお子さまたちは、知的発達の遅れがない分、本人も周囲の大人も障害があることに気付きにくく、対人関係で悩んだり生きにくさを感じたりして、二次障害が引き起こされることもあります。

※高機能自閉症は正式な診断名ではありません。またアスペルガー症候群も古い診断名で、広汎性発達障害に含まれていた時期もありましたが、現在は自閉スペクトラム症という、境界線の無い一つの障害としてまとめられています。

自閉症スペクトラムという概念は、自閉症の本体が時代の経過とともに変遷したことや、近年の英国の現状等を併せて、ローナ・ウィング博士が提唱した概念で、自閉症を自閉性障害という狭い意味での捉え方から、広汎性発達障害といった広義のとらえ方まで、全て、社会性の障害という中核的な特徴を備えた自閉症の特徴をもつ人の連続性を意味する概念です。
近年では、広汎性発達障害と自閉症スペクトラムは同義語として使用されています。

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自閉スペクトラム症の診断基準(DSM-5)

自閉スペクトラム症は、「コミュニケーション(対人関係)の障害」と「興味や行動への強いこだわり」という二つの特徴を併せ持っています。どちらか一つだけでは自閉スペクトラム症と診断はされません。

コミュニケーションに持続的な障害があるか

  • 会話のやりとりや感情を共有することが難しい
  • 人と交流する際、身振り手振りなどの非言語的コミュニケーションがとれない
  • 年齢に応じた対人関係が築けない

行動、興味、活動、で4項目のうち2項目以上当てはまるか

  • 常に同じ動きや会話を繰り返す
  • 同一性への強いこだわりがある
  • 非常に限定的で固執した興味がある
  • 音や光などの感覚刺激に対して、極度に過敏あるいは鈍感

自閉スペクトラム症<ASD>のお子さまが抱える困難さ

「抱っこをいやがる」「視線が合わない」「名前を呼んでも振り向かない」「親の後追いをしない」「好き嫌いが多くてご飯を食べない」など、育児をする上でお母様お父様が不安になってPal教室に相談に来られる方が少なくありません。

お子さま側から考えてみると、「お友だちの気持ちを考えなさい!」「もっと周りを見て行動して!」と怒られても、そういったあいまいなものを理解するのが苦手というのがこのASDの特性なので、理不尽に怒られているという気持ちになってしまいます。また、そういった自身の気持ちを言葉にして伝えたくても、言語や知的な発達の遅れのためにうまく言葉で伝えることができません。お話しができるようになっても、空気を読む、ということができないため普通に話しているつもりなのに相手を不愉快にさせてしまったりすることがあります。また、悪気は全くないのですが、ついぴょんぴょん飛び跳ねたり、同じ道だけを通りたくなったり、ゲームで1番になれないとパニックを起こしたりしてしまうことで、なかなかお友だちに理解してもらえず、時にイジメに発展してしまうこともあるのです。

ASDの特性を持つお子さまへのPal教室での療育実践例

Pal教室では、ABA(応用行動分析)の考え方を取り入れた療育を行っています。

ABAの基本的な考え方とは、行動の原因を子どものせいにするのではなく、子どもを取り巻く環境との相互作用の結果、として捉えるというものです。

ここで言う環境とは、物理的な状況もありますが、私たち大人や周囲の人的な状況も含まれ、特に小さなお子様の場合、大人との関わり方の影響がとても大きいと考えています。

私たちは療育を行う際に、子どもの行動について、A「行動の直前の出来事」、B「行動」、C「行動直後の出来事(結果)」という3つのフレームで分析を行っています。

このABCフレームを用いた分析により、A(環境の調整や私たちの指示の出し方)やC(行動に対しての私たちの反応など)によって、望ましくない行動を減らしたり、望ましい行動に変えることが出来る、特に「望ましい行動を褒めて増やしていく」というのがPal教室の療育の基本です。

例えば、ASDの特性を持つお子さまの、お友だちとゲームや競争をするときなどに「1番じゃないとパニックを起こす」という行動には、個別療育の気持ちが落ち着いている状況で、ゲームに参加するためのルールや気持ちを落ち着けるための自分なりの方法を学び、少人数の集団療育で実際にゲームをしたり遊んだりしながら、望ましい行動を実践的に身につけていきます。例えば、ゲームに負けてパニックを起こしそうになった時に、気持ちを落ち着けるための方法を試そうとしていたら盛大に褒め、その方法が定着するようサポートしています。極度に興奮してしまって自分をコントロールすることが難しいようなときには、別室に移動させて落ち着くのを待ち、自分の力で落ち着けたことを褒めて強化します。

また、こだわり崩しのための環境調整として、スゴロクなど勝敗が分かりやすいゲームを行う際に、単に早くゴールした人が勝ちというルールではなく、より多くのアイテムを集めた方が勝ち、一番最後にゴールした人が勝ち、制限時間の中で●●のマスに近い人が勝ち、など、さまざまな「1番」を用意することで、「1番でなくてはならない」というこだわりが緩和されていきます。

ひとつのこだわりが緩和されることで「ま、いっか」という気持ちを学び、別の場面(Pal教室ではなく学校など)でも、似た状況が生じた時に、「この程度なら、ま、いっか」と気持ちや行動をコントロールできるようになっていくのです。

ASDお薬のこと

自閉スペクトラム症に対する主なアプローチは、「療育(治療教育)」と「生活環境の調整」です。自閉スペクトラム症そのものを治療するためのお薬はまだありません。

ただし、てんかん発作や睡眠障害、不安障害、易興奮性などの症状に対しては、その症状が生活に支障をきたすような場合、それぞれの症状に合わせたお薬を用います。

Pal教室の運営会社は、調剤薬局を運営している株式会社パル・オネストです。お薬のことで、かかりつけのお医者様の他にだれかに相談したいというときには、Pal教室に相談してみるのも一つかもしれません。

自閉スペクトラム症<ASD>に関するよくある質問と回答

抱っこを嫌がるから自閉症?
抱っこをするとのけぞってしまって嫌がるので、1歳半検診で、自閉症の傾向があると言われました。 本当に自閉症だったら、一生この子を抱きしめることができないのでしょうか?

抱っこを嫌がる=自閉症、というのはちょっと極端な考えかもしれません

たまたま、抱っこをしてくれた人の抱き方が、あまり心地良くなかっただけかもしれませんし、たまたま眠くてぐずっていただけかもしれません。
もしくは、お肌の感覚が敏感すぎる(感覚過敏)かもしれません。
 お肌の感覚が敏感なお子様には、服の素材を変えてみたら、抱っこを嫌がらなくなった、という子もいますし、汗をかく季節は抱っこを嫌がっていたが、冬は大丈夫だった、という子もいます。
 お肌の感覚が敏感なお子様は、私たちが思っている以上に敏感ですので、ちょっと触れただけでもまるで静電気に感電した時のように痛いと感じることもあります。
ですが、一生抱っこができないわけではありません。
お子さまが心地よいと感じる素材の衣類を着せてあげて、お子さまを優しく抱っこしてあげてください。ただし、のけぞったり、嫌な表情をしたらすぐにそっと下ろしてあげましょう。
これを繰り返すうちに、「抱っこって心地いいんだな。」と学習し、抱っこを嫌がらなくなった、というお子様もたくさんいます。
 とはいえ、お母さまが不安な気持ちのままですと、その不安はお子様にも伝わります。
少しでも気になるのであれば、お医者様や近くの相談事業所や療育施設等へ相談してみてはいかがでしょうか。

Pal(パル)教室は、埼玉県朝霞市を中心とした
児童発達支援・放課後等デイスクール事業所です

  • Pal膝折教室:埼玉県朝霞市膝折町1-10-8
  • Pal教室NEO:埼玉県朝霞市膝折町1-10-8
  • Palαあさか台:埼玉県朝霞市西弁財2-5-12
  • Pal教室Up:埼玉県朝霞市東弁財1-3-4
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